タカトシの代名詞「~~か!」は誰のものでもなかった
――2001年からは、一般審査員の投票によってオンエアされるか決まるネタ番組「爆笑オンエアバトル」に出場。同番組では、観客審査員の投票するボールの総数で順位が決まりますが、タカアンドトシは高得点を連発し、1位を記録することも多々ありました。連勝することもあり、順調に勝ち星を重ねていったおふたりは、2002年に満を持して活動の拠点を東京に移すことに。コンビ結成8年目の決断でした。
タカ 「オンエアバトル」って競争率が激しいから1回でも脱落したら、2年ぐらいは出番が回ってこない仕組みになっていたんですよ。で、連勝しているコンビって東京でもなかなかいなかったから、それが自信になって上京する決断ができました。
トシ 上京してからは営業も増えるし、テレビのオファーもいっぱい来るだろうからってことで、まずは「M-1グランプリ」の決勝に行くことを目指しました。そこからはもう必死に漫才の練習でしたね。
タカ 東京で漫才を披露したら、それなりにウケるし、先輩からの評価もなんだかんだよかったんで「いけるぞ!」と思っていました。なんだけども、M-1ではずっと準決勝止まりだったんです。
トシ 「M-1グランプリ」のスタッフさんにも「タカトシって面白いし、漫才も上手いんだけど、何がダメなんだろうね」とつぶやかれたこともありました。こいつ(タカ)も「漫才上手い大会じゃねーのか」って話していたけど、薄々僕らには何かが足りないと考え始めたんです。
若いころは、タカの見た目もヤンキーみたいだったんで、何となくとっつきにくさがあったんでしょうね。
タカ たしかにイカツかったな(笑)。それにぼくらは、王道のしゃべくり漫才しかやってこなかったから、インパクトに欠けていた。
だからボケの僕がこいつ(トシ)の頭を叩く逆ツッコミをやってみるとか、いろいろ工夫してみたんです。
――たしかにお若いころから逆ツッコミは、よく披露されていましたよね。ツッコミと言えば、やはり「欧米か!」がタカトシさんの代名詞。今ではもうおなじみのこのツッコミも方向性を模索するなかで編み出したものだったのでしょうか?
トシ そうですね。きっかけは、「オンエアバトル」のときに「昔か!」って入れたツッコミから。そもそも「~~か!」っていうツッコミ自体、関東では「~~かよ!」みたいなツッコミと同じでもともとあった形式だったんで、誰のものでもなかった。
タカ でもお客さんのウケはよかったんで、徐々に漫才に取り入れるようにしました。
――そして、結成10年目の参加できるラストイヤーとなった2004年の「M-1グランプリ」では、見事決勝に進出し、4位に入賞する運びとなりました。
タカ M-1の決勝戦では、トシと「~~か!」って同じ語尾のツッコミを連続して入れあったんです。そして、その仕組みをなんとか使えないかなと思い、「~~か!」っていうツッコミをネタ番組で頻繁にやるようになった。そこから「欧米か!」に派生していきましたね。
関西の「なんでやねん」に対抗したワケじゃないけども、結果的にそれがキャッチーだったんでしょ。番組のスタッフさんや先輩芸人もいじってくれて、「欧米か!」をやってほしいってオファーがたくさん来ました。木村祐一さんなんかちょいちょい「昔か!」って言ってくれて(笑)。やっぱり先輩たちがいるってすごく大事だな、って思いましたもん。
トシ いい感じにキャッチーさが生まれて親しまれたんだなあ、と。いつの間にか僕らのネタになっちゃいましたが(笑)。