昔は恋愛できない人でも結婚できていた
長期的に見ると童貞の割合は変わっていないとのことだが、荒川氏によると80~90年代に比べて童貞の“中身”は変化しているのだという。
「前提として80~90年代ぐらいまでは、“結婚するのが当たり前”という社会的な圧力が大きかった。そのためお見合いなどの社会的な結婚お膳立てシステムも機能していましたし、上司が結婚できない部下の仲人を買って出るといった善意のお節介もよく見られ、結婚がしやすかったのです。
そのころまでは結婚するまで性体験なしの割合も少なくなく、未経験率は皆婚という状態によって解消されていたといえます。
しかし、時代が進むにつれて自由恋愛が主流に。そして職場で恋愛や結婚の話をすることはハラスメントに該当するとしてだんだんタブーになり、上司が世話をする文化も廃れていきました。
結果、何が起こったかというと、結婚も性交渉もほぼ自助努力にかかっているという社会になったのです。いわゆる『恋愛できるもできないも自己責任化』ということです。
したがって、かつてはお見合い結婚などを機に童貞を捨てることができた男性たちが、性交渉未経験層の中心に移り変わりつつあるのです」
80年代より本格化した自由恋愛市場とコンプライアンスの厳格化の流れを受け、現在は80~90年代よりも性交渉に及ぶのが難しくなっているということか。
だとすれば、楽観的に解釈した場合、現代の若者たちは80~90年代よりも性交渉までの難易度が上がっているにもかかわらず、同水準の童貞率をキープできているということなので、十分健闘しているとも考えられる。