カギはメディアを味方につけられるか

泉代表としても言いたいことも言えずに苦慮しているのだろう。それでも、野党第一党の代表としてリーダーシップを発揮してほしいところだが、2023年11月に法政大学で公演した際に「5 年で政権交代を考えている」と口にしている。この発言に落胆した人は少なくない。

記者会見する立憲民主党の泉健太代表 写真/共同通信
記者会見する立憲民主党の泉健太代表 写真/共同通信

なにかと後ろ向きな発言が目立つ背景として、「『5 年で政権交代を考えている』と発言した後に『前回(2021年)の総選挙で僕らが150議席を獲っていれば、次は当然政権交代と言いたい。もう一回再生していくには手順が必要。そういう意味で5年。次の総選挙でしっかりと基盤を築いて、ホップ、ステップで(政権を)獲れる。そういうものを目指している』と続けています。

前後までしっかりチェックすると『参院選も段階的に考えている』という、ある意味で筋が通っている内容でした。とはいえ、それを取り上げる際には、メディアは必ずこの『5年』を切り取り、『次の選挙では政権を獲る気はないのか』と書かれます。本人も気を付けていたため、前後でちゃんと説明していたと思うのですが、それでも切り取られました。この『5 年で政権交代を考えている』という発言の報じられ方からもわかる通り、立憲としては“コミ戦(コミュニケーション戦略)”が必要であり、党内でコミ戦部隊をしっかり作っていかなければいけません」

「今年の野党が果たすべき責任は大きい」

先月、元外相の田中真紀子氏は YouTube チャンネル『たかまつななチャンネル』に出演した際、政治の健全化のために「嫌でも野党に投票するしかない」と話していた。とはいえ、立憲の支持率は一桁台。政権交代するために必要な戦略は何なのか。

「政権交代と聞くと『政策もバラバラな野党が上手く共闘できるのか?』という疑問が浮上します。ただ、政権交代が起きた1993年では、8党派からなる細川連立政権が誕生しましたが、当然8党派の政策が全て一致するのは無理です。しかし、最も大きな“非自民党”のただ一点では一致しました。『一度長く続いた支配を終わらせて自民党にお灸を据えよう』という意識が広がって政権が変わりました。今回もそれで行くべきです」