インタビューでも色彩の話ばかり

ハリウッドには高齢になっても現役で作品を作り続ける監督が何人かおられますが、なかでもリドリー・スコット(86歳)の作品数は群を抜いています。SFから歴史大作までジャンルも本当に幅広いのよね。

ただし、『デュエリスト/決闘者』(1977)のような素晴らしい作品もあるけれど、忘れ去られたような作品があるのも事実。『レジェンド/光と闇の伝説』(1985)なんかは、きっと主演を務めたトム・クルーズも忘れたい過去なんじゃないかしら(笑)。とはいえ、リドリー・スコットは私と同世代。大作を精力的に作り続けるバイタリティには感心します。

『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)で来日したときに通訳を担当しましたが、絵画を勉強していた経歴があるからか、インタビューでは「あのシーンのオレンジ色は〜」みたいに色彩の話ばかりしていました。

『ブレードランナー』(1982)を見てもわかるように、まさに色彩にこだわる映像作家ですよね。日本の街をヒントに、近未来のロサンゼルスを猥雑で混沌とした世界観に作り上げるなんて! 公開された当時のみならず、今でも衝撃に満ちていて、目のつけどころがさすがだと思わせてくれます。