個性豊かなキャラクターたちの誕生秘話

–––そもそも、『ラーメン赤猫』の物語はどんな着想から作られたのでしょうか。

最初は、SNS用のちょっとした漫画くらいの気持ちでネームを作りました。『夜ヲ東二』を連載するより前のことです。その連載が終了していろいろ模索するなかで、また描いてみたという感じですね。

–––個性的な働く猫たちは、どのように誕生したのでしょうか。

文蔵、佐々木、サブ、ハナの4匹は、初期の構想段階ですぐに固まりました。最初に猫が経営しているラーメン屋の話を作ろうと決めて、まずはラーメンを作る猫として文蔵が、でも1匹じゃ大変だろうということでサブが、そして世界観的に猫としての強みを自分で理解している存在がいたほうがいいなということで接客担当のハナが、あとは経営者ということで佐々木です。

–––製麺担当のクリシュナはどのように?

物語を考えていくなかで、お店で何かトラブルが発生したとき、猫4匹だけだと「対処できないのでは?」と思ったんです。そこで、その解決役として虎のクリシュナが生まれました。

《漫画あり》「漫画がおもしろければ、誰かが必ず見つけてくれる」「ジャンプルーキー!」からアニメ化まで登り詰めた『ラーメン赤猫』。漫画家・アンギャマンがこだわる「気持ちのいい読後感」_3
ふだんは製麺室にこもっているクリシュナ。店舗でトラブルが起こると登場するが、実は可愛らしい一面も

–––お店で唯一の人間・珠子(たまこ)が生まれた経緯も教えてください。

クリシュナを加えたとしても、やっぱり猫だけだとお店が回らないなと。そこで、アルバイトとして人間を迎えることにしたんです。

珠子は最初、髪の長い引きこもりキャラでした。その子が社会的に成長していく姿を描くことで、ジャンプっぽい成長物語を描けないかな、なんて思ったりも(笑)。でも、『ラーメン赤猫』はあくまで猫のお話だと思い直し、元OLという設定に変更しました。珠子がいることで、「人間から見た、猫が経営するラーメン店の魅力」を伝えやすくなったとも思います。

《漫画あり》「漫画がおもしろければ、誰かが必ず見つけてくれる」「ジャンプルーキー!」からアニメ化まで登り詰めた『ラーメン赤猫』。漫画家・アンギャマンがこだわる「気持ちのいい読後感」_4
お店唯一の人間・珠子。第1話でラーメン赤猫へと面接に訪れる

–––そうして作った作品が、投稿作から最終的に「ジャンプ+」の本連載になるわけですが、それが決まったときの気持ちを教えてください。

単純にうれしかったです。特に、インディーズ連載時代からコメントで「単行本を…」といってくださる方が多かったので、それに応えられるのがうれしくて。ずっとインターネット上で活動してきた人間なので、本になること自体が感激なんですよね。

インターネットって時間の取り合いじゃないですか。でも、単一メディアである紙なら、漫画だけの時間に没入して楽しんでもらえるので。