Twitterの誕生背景にある「孤独」

このような使い方をしていたユーザーはきっと私だけではないだろう。Twitterは「孤独の解毒剤になる」ことを期待されて生まれたからだ。

書籍『ツイッター創業物語』(日本経済新聞出版社)によると、このサービスは創業者の1人であるジャック・ドーシー氏による「自分が何をしているのかという現況(ステータス)を誰かに共有すると楽しいのではないか?」というアイデアがベースにある。彼の草案を聞いた同僚ノア・グラス氏が「雨降る閑散とした通りで、敗北や失敗の憂鬱な話ができたら、どんなにいいだろう」という具体的なイメージに結びつけ、Twitterは作られた。

Twitterという「孤独の解毒剤」が奪われた2023年。イーロン・マスク買収後は“なりすまし”や差別用語も激増…“ゴッサム・シティ”となり果てたTwitterは何を失ったのか_2
Twitter創業者の1人であるジャック・ドーシー氏(写真/shutterstock.com)

どんな音楽を聴いているのか、いまどこにいるのかということを、共有するだけではない。人々を結びつけ、孤独感を癒すことが重要なのだ。パソコンの画面を見つめているときに、どんな世代でも味わうこの感情を、消し去ることができる。

(引用:『ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り』(日本経済新聞出版社)

日本語では「つぶやき」と翻訳されるようになったTwitterという言葉は、「特定の種類の鳥の小さなさえずり」「震えるような小さな声やくすくすと笑う声などの、似たような音も指す」「同様や興奮によるおののき」という意味で、サービスの特徴と可能性をよく表している。

一羽の鳥のさえずりが誰かの孤独を癒やし、いつの間にか輪唱になり、社会を変えていく。Twitterは単なるWebサービスの域を飛び越えていた。