労基署は詐欺疑惑のあるモンスターバイトの主張を鵜呑み

その1か月ほど後、音信不通だったX氏から急に6日分の給与を支払ってほしいという旨のメールが届いたという。A社社長が、リモートワークを偽装していただけで勤務実態がないため支払えないと伝えたところ、X氏は労基署に賃金未払いとして訴えたそうだ。

A社社長はやましいことは一切ないと自負しているため、労基署からの来署依頼に応じ、対面で監督官にX氏がリモートワーク詐欺を働こうとしていることや、多々ある疑惑を伝え、潔白を主張したそうだが……。

「労基署の対応には本当に驚きました。その監督官は弊社の言い分を一通り聞いてはくれたので、X氏に数々の不審点があることはわかっているはずなのに、なぜかその日のその場で弊社は『労働基準法違反』『最低賃金法違反』という名目で、X氏の請求どおりの額を支払うよう是正勧告されてしまったのです。

要するに、弊社側が詐欺犯だと訴えているX氏に対して調査などしてくれることなく、X氏の疑惑は未解明のままこちらの言い分を無視し、法律違反のレッテルを貼ったのです」

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A社社長はあまりに理不尽で納得がいかなかったため、支払うことはできないと伝えたとのこと。だが、監督官から「このままでは告訴される可能性や書類送検される可能性がある」と言われて大事になる懸念を抱き、泣く泣く請求額の約6万円をX氏に振り込んだそうだ。

余談だが、請求されていた6日分のなかには、出社をバックレて音信不通になった最終日の分も含まれていたという。この日については、X氏はリモートワークの偽装さえもしておらず、労基署にはその点も伝えていたにもかかわらず、なぜか最終日分も含めてA社に支払いを命じたというのである。