東京に送り返した朝
――険悪なムードですね。
そしたら「これには色々と理由があって…」みたいなことを彼が言っていたから、「まあ別にいいよ。店の子に手を出すのも構わないけど、部屋を貸しているんだから、そっちでやればいいじゃん」と、伝えたんです。
それに対して純士は「いいの?」という返事で、彼らは東横インには入らず、そのマンションに歩いて向かって。彼には伝えてなかったんだけど、そのマンションに僕の仕事部屋もあったから、車で向かった僕の方が先に着いて。
「弱ったもんだな」と思っていたら、「仲村のバカめ。まんまと騙されやがって。(女の子に対して)お前は俺が東京に連れて行って、幸せにしてやるからな」みたいなことを酔っ払ったデカイ声で言いながら、純士とその子が歩いてきて。
それを聞いちゃって、「ここまでやってもわかってくれないのか、もういいや」と、アホらしくなっちゃった。今となっては、彼も酒を飲んだ勢いでの言動だから、目をつむってやればいい話なのかもしれない。だけどその時は俺も余裕がなかったから。
「匿ってくれ」って頼ってきたにも関わらず好き放題やっているなら、「新宿に帰ってヤラレればいいじゃねえか」と。でも、夜中で電車が走ってなかったんで、「明日の朝締め出して、もう帰らせよう」と。
――堪忍袋の緒が切れた、と。
次の日の朝、純士の部屋の鍵を開けて部屋に入ったら、純士と女の子が下着姿で寝ていて。水をかけて、「起きろ」って言って、そのままボコボコにして、部屋の外につまみ出した。
「お前の面倒はもう見てやれないから、二度と山梨には来るな。もし来たら、俺も俺の部下も絶対にお前を見つけ出すからな」という話をして。帰りの電車代の5千円を渡して、駅のホームまで見送った。そこまでしないと、帰らずに甲府の街でまた面倒を起こすだろうと思ったから。
彼は泣いて土下座して、「許して欲しい」とずっと謝っていたけど、僕は「悪いけど、ここで縁は切らせてもらう。もうお前には関わらない」という話をして、東京に送り返したんです。