寺内君が来るとレアなカードがなくなる
「寺内君の家はどちらかといえば裕福だったと思います。お父さんの働く運送会社の給料がよかったようでしたから。記憶では、寺内くんは小学校の時、両親と3人で福島区にあるその運送会社の社宅に住んでいました。社宅に住む男性はヤンキー風のコワモテの人が多いのですが、寺内君のお父さんは見た目も普通でまともそうな人でした。
一方で、お母さんは金髪でド派手な服を着るようなすごく若い女性。ツンツンしていて感じが悪く、うちの息子が寺内君の家に遊びに行った時も『挨拶をしてくれない』と話していました。ですからママ友の間では寺内君の家の評判は良くなかったですね」
それでも、親同士の評判は子供たちには関係がなく、当時はお互いの家を行き来していたそうだ。Aさんが息子に寺内容疑者宅でどんな遊びをしていたのかを聞くと「電気もつけない暗い部屋の中で1日中ゲームをしていた」と不気味なことを言っていたという。反対に、寺内容疑者がAさん宅に遊びに来た時には、大きな違和感を覚えた出来事があったという。
「寺内君を含めた近所の友達数人が午前中から夕方まで、うちで遊ぶことが何度かあったんですが、お昼になるとみんな一度自分の家に帰ってお昼ご飯を食べるのに、寺内君だけは帰らない。『そろそろ帰ろうか?』と促してもコクンと頷くだけで埒があかないので、おうちに電話をすると謝罪をするのはお父さんだけ。
うちではおやつなどを出していたのですが、寺内君の家で何かを出してもらったことはなかったみたいですね」
寺内容疑者の母親は近所の子どもはもちろん、自分の子どもにも無関心だったのか。それでも寺内容疑者自身は近所の友達との交流は少なくなかった。しかし、小学校も高学年になると、近所の同級生の家庭から「関わりたくない」と距離を置かれ始める。
「それぞれの家で当時はやっていたカードゲームをやってよく遊んでいたのですが、うちの息子は寺内君が来るとレアカードをはじめ、よくカードがなくなると話してました。うちだけでなく、よそのお宅でも多発していたみたいで……」
さらに、小学校の修学旅行当日、寺内容疑者と友人一人が集合場所に現れず、先生が寺内容疑者宅へと向かうと、その友人とともに、我関せずと部屋で寝ていたことも。結局、校長先生が二人を車で旅行先の伊勢まで送り届けたそうだが、遅刻どころの騒ぎではない。彼の社会性のなさはこの頃すでに顕著だったとみていいだろう。