2割増のペースで増収を重ねる「町田商店」
下図のグラフはコロナ禍を迎える前の直近通期の売上高と、迎えた後の売上高の差を表している。ロードサイドが主体の魁力屋や山岡家は、落差が小さい。リモートワークや巣ごもり需要の受け皿となったからだ。
その一方で繁華街型の一風堂は大ダメージを受けている。
町田商店を展開するギフトホールディングス(以下、ギフト)は、逆風もお構いなしに圧倒的な成長力を見せた。
4社の中で現在、最も勢いに乗っているのがギフトだ。この会社は2018年10月に上場しているが、その後2割増のペースで増収を重ねている。上場時に売上高70億円規模だった会社が、今期は200億円オーバーを達成しようとしている。
町田商店は家系ラーメンと呼ばれる豚骨醤油と中太麺が特徴。18時まではライス食べ放題を基本としており、学生や若い会社員の男性客がメインターゲットだ。繁華街、住宅街、ロードサイドなど多様な店舗展開をしている。
出店スピードが速いのは、プロデュース店と呼ばれるフランチャイズ(FC)加盟店が多いためだ。741店舗のうち、548店舗がプロデュース店なのである。若者の胃袋をつかむ家系で圧倒的な知名度を獲得し、集客力もあるためにFC加盟するオーナーが絶えないのだろう。
ギフトはビジネスモデルの構築も見事だ。FC加盟店が多い会社の場合、食品卸の性格が強まるために原価率が上がる傾向がある。典型的な会社がFC主体で「コメダ珈琲」を運営するコメダホールディングスで、その原価率は6割を超えている。直営中心の「サンマルクカフェ」を運営するサンマルクホールディングスが2割ほどであることを考えると、その原価率の比重の大きさがわかる。
ギフトの原価率は3割程度。直営主体の山岡家などと数パーセントしか変わらない。実はギフトのフランチャイズシステムは、加盟店に保証金や加盟料、ロイヤリティを一切徴収していない。FC加盟店はビジネスを始めやすいのだ。
しかし、原価率を見ると他の会社と変わらないことから、加盟店への食材卸価格に付加価値をつけ、ギフトが儲けを出しやすいようにしているのだろう。