児童手当支給と相殺した恩恵は約4~9万円

見直しの対象になった高校生世代には来年12月から児童手当支給が予定されているが、今回の扶養控除引き下げで受給額が相殺されると、実際にはどれくらいの恩恵が残るのだろうか。

予定されている児童手当の支給額年間12万円から、先ほど試算した増税額を差し引くと、課税所得330~695万円(所得税率20%)の世帯では約7.3万円が手元に残る計算になる。

内閣府の資料によると、所得税の納税者のうち約96%は所得税率20%以下の人が占めている。今回の見直し対象となる高校生のいる世帯の親たちは40~50代が中心とみられ、賃金構造から考えると就業者のなかでは比較的所得層が高めの可能性はあるが、それでも所得税率10~20%の世帯が大半と考えていいだろう。平均的な所得層で高校生1人の会社員家庭であれば、増税分を差し引いても児童手当による恩恵は7~9万円程度になるはずだ。

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※課税所得別。夫婦片働き、高校生の子ども1人、所得税・住民税(所得割)が課税される場合で試算(筆者作成)

また、高所得世帯でも相殺額がゼロやマイナスになることはなく、最低でも約4万円の恩恵が残ることがわかる。