東大生の親の半数以上が年収950万円以上
子供の受験において、お金をかけた分だけ単純に成績が上がるわけでも、高学歴が手に入るわけでもない、と思いたいところですが、やはりある程度は経済力がものを言うのでは、と思わせるデータがあります。「東京大学の学生の親の半数以上が年収950万円以上」というものです。
同大学が学生の実態を調べた報告書によると、学生の11.4%は生計を支える親などの世帯年収が950~1050万円、42.5%が1050万円以上といいます。調査年による変動もありますが、2000年以降ほとんどの年で、年収1000万円超レベルの世帯が半数以上を占める結果になっています。
もちろん学校や家庭の学習だけで東大入試を突破できる人も一定数いますが、中高時代に塾に通って対策をやりこむのも、特に首都圏では一つのセオリーとなりつつあります。御三家などの中高一貫校では中学に入学するや否や、今度は東大を目指してまた受験塾に入る子どもが大勢います。
東大への進学実績は、高校や中高一貫校の人気に色濃く反映されると言われています。そのため進学校のなかには大学受験対策に力を入れ、塾無しで東大を目指せることを謳う学校もあります。しかし御三家をはじめとした難関中高一貫校でも、学校で手厚い大学受験対策をしてくれるとは限らないため、都市部では受験対策のために塾に通う子どもが大半です。
都内では東大受験対策塾のなかでも鉄緑会が有名ですが、英語は平岡塾、数学はSEG、などというように教科ごとに複数の塾を掛け持ちする生徒も多いようです。これら有名塾の授業料も、英語と数学の2科目で月に2~4万円前後かかり、高校3年生では年間で100万円近いところもあるようです。
中学受験にさんざん出費したかと思えば、中高でも高額な学校の授業料を負担しながら、さらに塾代を払う。そうしなければ目指す大学に入れず、そして入った大学の学費も高い。一連の教育費事情を俯瞰してみると、進路や地域事情による個人差はあるとはいえ、子どもを一人前にするには、なんとお金がかかるのかを痛感させられます。
このように、大学の学費自体が値上がりしているだけでなく、私大の定員減や入試改革の影響で受験対策にかかる費用も増加傾向にあり、単純な費用という意味でも、受験にかける労力という意味でも、ハードルは何段階も上がっています。
ひと世代前の大学受験の感覚で「せめて自分たちと同じぐらいの学歴を」と考えて子どもの教育に投資する方は多いと思いますが、入試の難易度も費用感も、すでに以前とは別のステージにきているという前提を理解して臨む必要がありそうです。