ホテルの廊下を裸足で

トム・クルーズと結婚していたときにニコールは二度ほど彼と一緒に来日してくれました。新婚旅行を兼ねていた『遙かなる大地へ』(1992)の最初の来日は、当然ながらべったりで、お互いを「トマス」「ニック」と呼び合っていました。

トムより身長が高いことを気にしていたのか、彼と歩くときはハイヒールを脱ぎ、手でブラブラさせながらホテルの廊下を裸足で歩いていて、その気遣いがかわいかった! クールで冷たい印象を持たれるかもしれませんが、開放的なオーストラリア人らしく、ざっくばらんで気取りのない、頭のいい女性です。

彼女のフィルモグラフィーを見ると、本当に良質の映画にたくさん出ていることがわかります。文芸作品やエンタメ大作だけでなく、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ・ワイド・シャット』(1999)。またラース・フォン・トリアー監督の『ドッグヴィル』(2003)とか、実験的な映画にも出るチャレンジングな女優さんです。

毎回、別人の女優さんかと思うほど、役の解釈が豊か。そこはメリル・ストリープと共通しているかもしれません。メリルと共演した『めぐりあう時間たち』(2002)は見応えがありました。役域の幅がある彼女が今後、どんな役を演じるか、すごく楽しみです。