画面に触れずに、必要な情報をサッと取得
ダブルタップが便利なのは、もちろんワークアウト時だけではありません。
最新のwatchOS 10からは、Apple Watchの文字盤にさまざまなアプリの情報を表示する「ウィジェット」が配置できるようになりました。そしてwatchOS 10では、ユーザーの行動を学習して必要なウィジェットを優先的に表示する「スマートスタック」を基本としています。
スマートスタックの表示は、通常Apple WatchのDigital Crownを回すことで切り替えられます。これを「Apple Watchに触れることなく、ダブルタップでできる」ところが、Series 9とUltra 2の画期的なところです。
スマートスタックを呼び出してから、続けてダブルタップすると天気予報や心拍数のウィジェットが素早く切り替わります。先日海外出張に行っているとき、世界時計のウィジェットで東京の時刻をダブルタップでサッと確認できて、非常に便利でした。
なお、ダブルタップは以下のような基本機能に対応しています。
-------------------------------------
・電話に応答する/通話を終了する。
・通知からメッセージを表示する。
・タイマーを一時停止する/再開する/終了する。
・ストップウォッチを停止する/再開する。
・アラームをスヌーズにする。
・ミュージック、ポッドキャスト、オーディオブックを再生する/一時停止する。
・「コンパス」アプリで新しい高度の表示に切り替える。
・「カメラ」アプリのカメラリモートを使ってiPhoneで写真を撮る。
・自動ワークアウトリマインダーから測定を開始する/終了する。
-------------------------------------
ダブルタップに慣れてくると、ほかにもたとえばトリプルタップや、リズムに変化を加えたマルチタップジェスチャーでApple Watchのいろいろな機能をハンズフリーで操作したくなってきます。
Appleによると、まずはダブルタップでApple Watchを操作する体験をユーザーに普及させてから、徐々にジェスチャー操作の可能性を広げる道を検討しているようです。
こうしてダブルタップを使いこなせるようになると、直接画面に触れて操作する感覚が過去のもののように思えてきます。何年か後に振り返ったとき、2023年のApple Watchは「スマートウォッチを本格的にハンズフリーで操作するようになった転換点」として記録されていることでしょう。
外観上にあまり変化がなかったことから、Apple Watch Series 9/Ultra 2へのアップグレードを見送っているユーザーも多いかもしれません。しかし、「ダブルタップ」は従来の使い勝手を大きく変える、非常に画期的な機能。後戻りできなくなるほどスマートな体験に、きっと魅了されることでしょう。
文・写真/山本敦