ムーンウォークに続いてスピンした後に犯した致命的ミス
モータウン25周年コンサートの収録は、1983年3月25日にカリフォルニア州のパサデナ・シビック・オーディトリアムで行われた。
そのステージでマイケルはジャクソン5のメンバーと共に、モータウン時代のヒット曲メドレーを歌って25周年に華を添える。そしてソロの『ビリー・ジーン』で公の場では初となる“ムーンウォーク”を披露した。
曲が終わってスタンディング・オベーションの大喝采が送られたマイケルだが、内心では心残りがあった。
というのも、ムーンウォークに続いてスピンした後につま先だけで立って静止するはずが失敗してしまい、静止できなかったのだ。常に完璧を求めてきたマイケルにとって、それは致命的なミスに思えた。
家族やスタッフからの称賛に喜びを感じつつも、どこかで満足していなかったマイケルだったが、ステージ裏でタキシードを着た見知らぬ少年に話しかけられる。
ねえ、一体誰があんなダンスを教えてくれたの?
少年が自分のダンスに感動し、憧れと興味の眼差しを向けていることを感じたマイケルは、そこで初めて自分のパフォーマンスに心から満足したという。
それから1年後。1984年2月28日。
第26回グラミー賞において、マイケル・ジャクソンが最優秀レコードや最優秀アルバムなど8部門受賞という大記録を打ち立てた。
一人のアーティストが一つの作品で最優秀賞を多部門で独占するのはグラミー史上初のことだった。