タイガース逆襲の条件
パ・リーグのCSファイナルステージの第1戦で、マリーンズが山本投手の立ち上がりを攻め、3点を奪いましたが、山本投手を攻略するには、まだ本調子になる前の立ち上がりに取った点数を守り抜くという戦い方をするしかないのではないでしょうか。
彼に本来のピッチングをされてしまえば、打てないし勝てない。仮に第1戦で抑え込まれたとしても、相手が上だった、1敗は仕方がないととらえて、次の試合に進んでいくしかないと思います。
ランナーをかえすという意味では大山悠輔選手、佐藤輝明選手がポイントになるのかもしれませんが、相手にプレッシャーをかけるということを考えると、近本光司選手と中野拓夢選手が出塁できるかどうかのほうが大事になってきます。
実際に、タイガースは出塁さえすれば、ヒットなしでも得点できる形を持っています。近本選手、中野選手が出塁して、山本投手に気持ちよく投げさせないことが何よりも大切です。
相手は足を使った攻撃も嫌うでしょうし、それを警戒したなかで、クリーンアップが打席に立てるという形を多く作りたいところです。
タイガースはCSファイナルで青柳晃洋投手、西勇輝投手の登板がありませんでしたが、岡田監督は日本シリーズでの投手起用をどう考えているのでしょうか。経験値や球場との相性など、さまざまな要素を考えて悩まれているだろうと思います。
純粋に戦力だけを比較した場合、個人的な予想としては、4勝2敗でバファローズかなと思います。ただ、タイガースに勢いがでれば、逆の結果になる可能性は十分あります。
そのためには、誰かひとりラッキーボーイが出てくるしかありません。CSファイナル第1戦の森下選手のように、その選手に回すと点が入る雰囲気を作ることができれば相手も意識して打順の巡り合わせを考えますし、その他の選手に対してのマークが多少甘くなったりもします。
2005年、阪神タイガースと千葉ロッテマリーンズとの日本シリーズのときは、マリーンズの今江敏晃選手が打席に立つだけで、打たれるような気しかしない、ということも経験しました。
タイガース38年ぶりの日本一へ向けては、第1戦、第2戦という早い段階で、いかにラッキーボーイを生み出すせるか、という点にも注目したいと思います。
構成/飯田隆之 写真/共同通信社