「台湾では青島ビールはあまり飲まないから騒動になってないよ」
この騒動で最も騒いでいるのは韓国だ。というのも韓国関税庁の貿易統計ではビールの輸入量のなかで中国産は最も多く、青島ビールも多くの韓国人に愛飲されているからだ。韓国在住のライター、ピョ・ジュンソク氏は言う。
「青島ビール輸入会社のBKは『本社に確認した結果、青島では内需用と輸出用を分離して別途の工場で製造しており、該当の工場では内需用ビールだけを生産していることが確認された』と説明。さらに『現在、韓国が輸入している製品は該当の工場とは関係がない』と明らかにしていますが、正直だれも信じていません(笑)。韓国人は今後、青島ビールを買い控えるでしょう」
ちなみに台湾では「よく飲まれているのはバドワイザー。青島ビールはあまり飲まれないから全く騒動になってないし、そもそもみんな騒動を冗談としか見ていない!」(台北市在住の会社員、シャオユー氏)というが、日本では少なからず影響は出ている。都内の浅草橋で中華料理店を経営する広東省出身の女将は言う。
「いつもは中華料理に合うからって日本人も青島ビールは頼んでくれるんだけど、昨日今日は全然、注文がない。中国からの若い留学生もよくお店に来るけど『アレはひどい』と話してたよ。他のお酒もあるから売上や客足に影響は出てないけど、やっぱりお客さんが自国のお酒を避けるのは悲しい。有名な商品だし、自分たちの国の評価を落とす迷惑行為はやめてほしいよ」
前出の任書剣氏は今回の騒動を深刻に捉える。
「中国は元々ドイツの植民地だったからビールの製造ノウハウを持ち、一時期、アサヒビールも資本を入れていました。青島啤酒股份有限公司は食品の衛生不安が根強い中国でドイツや日本とも競い合い、信頼と安心のブランドイメージで名を馳せていただけに、今回の騒動は大打撃となるはずです。他国はともかく自国民の信頼すらも失ってしまうと思うと言葉が出ません」
はたして、青島ビールは名誉を挽回し、消費者の信頼を取り戻せるのだろうか。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/ 河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班