部屋に入った警官たちが「やべえな」
一体何が起こっているのか? そう思った男性が目をこらすと、1階に玄関ドアが少しだけ開いた部屋があり、その隙間から猫の目が光っていた。猫たちは真っ暗なその部屋から、ワラワラと外に出ていたのだった。
「ずいぶんと前から、その部屋のあたりから水が腐ったような匂いや、獣のような匂いが漂っていたので、気にはなっていたんです。部屋の前の廊下に芳香剤が置いてあるのも不思議でした。芳香剤って普通、部屋の中に置くものじゃないですか。死体でもあるんじゃないかと思ったこともありますが、まさかと思ってスルーしていたんです」
そういう前段があり、いよいよおかしいと判断した男性が、今回(7月)、通報するに至ったわけだ。
「通報後も気になったので様子を見ていると、4~5人の警官が来て『連絡がつかない』と話しているのが聞こえたので、ネコの飼い主や管理会社と連絡がつかないようでした。しばらくして部屋に入った警官たちの『やべえな』という声がしたので、何があったのか尋ねると『エアコンの温度が30度に設定してある』ということでした。ただでさえ猛暑の時期に、さらに部屋を暑くして、ネコたちを虐待していたのかもと思いました。そんな状況ですから警察官も汗だくで部屋を出入りしていました。かなり長い時間、作業していましたよ。飼い主はこれまで一度も見たことがなくて、どんな人が住んでるかはわからないんですよ」
異変に気づいていたのは、通報した男性だけでなかった。別の女性住民はこう語る。
「その部屋はエレベーターの前なので、帰宅時になんとなく視線を向けると、通報のあった日の3日前にも5センチくらいドアが空いていたんです。部屋は真っ暗で誰もいないようにしか思えなかったので、不思議に思っていました」
そして通報された当日、女性が帰宅するとオートロックの自動ドア越しに何匹もネコがいるのが見えたのだという。
「みんな毛がボロボロで体はガリガリで、明らかに普通じゃないのがわかりました。このマンションは分譲賃貸なので、部屋によってはペット飼育可ですけど、普段ネコがいるのは見たことなかったのに何匹もいたので驚きました。その日のうちに警察が来て、作業しているときに玄関だけ見えましたが、なんというか、まぁ、ゴミ屋敷って感じでした。ダンボールやらいろいろなゴミや、ネコのうんちが散らばっていて、さらにネコが何匹かいて……。警察の方にもその『猫屋敷』の住人がどんな人か聞かれましたが、出入りしているのは一度も見たことないんですよ」