立法、行政に続いて司法の判断は?

そして今回、旧統一教会による霊感商法や高額献金などの行為が民法上の不法行為に該当すると判断し、政府は解散命令請求を行うこととなった。これは立法の場に続いて、行政の場でも旧統一教会の違法性が認定されたといえる。
中野さんは高裁の判決を不服として、昨年7月に上告。今も最高裁からの判決を待っている状態で「この判断を受けて、次は司法の場でも正しい判決を下してほしい」と語る。

もちろん、司法は立法、行政から独立しているため、政府から解散命令請求が出たことが直接的に司法判断に影響を与えるわけではない。特に上告審である最高裁は、さまざまな主張や証拠を取り扱う第一審や控訴審とは違い、法令違反の有無だけを判断する法律審である。そのため、原告側も国会や政府の判断をもとに新たな主張をすることができないのが難しいところだ。
しかし、中野さんが地裁、高裁で敗訴したころとは明らかに旧統一教会を巡る状況が変わっており、それを受けて最高裁がどのような判決を下すかには注目が集まる。

損害賠償請求などを行わない旨が念書に記されている
損害賠償請求などを行わない旨が念書に記されている

中野さんの母は控訴中の2021年7月に91歳で亡くなった。
介護施設に入った後は認知症が進み、さらにコロナ禍ということもあり直接の面会ができず、ビデオ通話を通して様子を確認する日々が続いた。
十分な意思疎通ができないまま亡くなってしまったが、それでも「裁判に勝ったよと報告してあげたかった」と中野さんは悔しさをにじませる。

こうした被害者の方々の無念を司法の場は汲み取ることができるのか。
国会における救済法の制定、政府による解散命令請求に続いて、最高裁という司法の場の判断が問われる。

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取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班