オリックス中川圭太についた2つの異名
今季は外野3ポジションに加えてファーストも守り、打順も得点源のクリーンアップだけでなく、リードオフマンとしてチャンスメイクもこなす。
高いユーティリティ性に得点圏打率.322の勝負強さを併せ持つ――。シーズン通してチームを長期離脱することもなく、試合数(135)、打席数(563)はチームトップ。打率.269は堂々のリーグ9位を誇る。攻守で見せる高い能力と順応性から、中嶋聡監督やファンからは「無敵の中川」と呼ばれている。
そんな「無敵の中川」には、プロ入り当時からついて回るもうひとつの“異名”がある。
最後の、PL戦士――。
春夏通じて7度の甲子園優勝を誇る高校野球界屈指の名門校は、中川の世代(60期生)が高校野球を引退した2014年10月を最後に新入部員の募集を停止し、2017年3月に高野連を脱退。現在に至るまで、野球部は活動休止状態が続いている。
2023年現在、NPBでプレーするPL学園出身者は中川のみ。MLBでは前田健太(ツインズ)がプレーを続けているが、PL学園野球部が今後、復活しない限りは中川がPL学園出身者としては文字通り“最後の”プロ野球選手になる可能性は高い。
その一方で、社会人野球に目を移すと、今なお現役を続けている“PL戦士”もいる。ヤマハの前野幹博もそのひとりだ。PL学園では中川の1学年上。卒業後、ヤマハに入社して今季で10年目を迎える強打の外野手だ。
「今年は例年と比べて途中出場する機会が増えたので、難しさを感じています。それでも、チームのため、会社のために自分に何ができるかを考えてプレーしています」
所属するヤマハは今年7月に行われた都市対抗野球に出場。決勝でトヨタ自動車に敗れはしたものの、準優勝という結果を残した。ただ、前野個人としては「このままでは終われない」という思いもある。
「もちろん、代打という仕事も大切です。ただ、自分としてはまたレギュラーで試合に出ることをあきらめてはいないですし、それを目指しています」