火に油をそそぐような言葉

おそらく「あなたの言い方は威圧的です!」と言っても、火に油を注ぐようなものですから「恐れ入りますが、一つだけ確認させてください」とか、「ご指示の内容は、○○と△△という2点のみという意味で承知しました」などと、相手に「答えだけくれればいい」というニュアンスのある、明瞭簡潔で理論的な訊き方を徹底してみるのも得策です。

もし、自分自身が威圧的になっていないか気になる方は、「お前」「あなた」といった代名詞を封印し、相手の名前を呼ぶことと同時に、「ありがとう」「助かります」などという言葉の使用頻度を高めてみましょう。

さらには、「そうなんですね」「なるほど」などと言うときには、普段より1〜2秒ほど、語尾を長くして、ややゆっくりで、ソフトな言い回しにチャレンジされるといいでしょう。

元ANAのCAの「絶対に後悔しない会話のルール」…あなたの先入観による失敗を消す言葉、威圧的な人の態度に油注ぐ危険な言葉とは_3
すべての画像を見る

また、威圧的だという印象を持たれている人の中には、実は内面は懐の深い人物なのだけれど、言動が粗雑なために(この時点で本人には改善してほしいですが)、周囲の人たちを畏縮させてしまうとか、周囲の噂が先行しているだけで、会って話してみると本人は大して威圧的ではなかったなどということもあります。

ですから、もしあなたの職場で、「新しく配属される店長の○○さんは、威圧的で有名らしいよ」などと、誰かの噂を耳にしても、実際に、あなた自身が、その店長の○○さんと話してみるまでは、勝手な思い込みをして、極度な緊張状態に自分を追い込まないよう気をつけましょう。

威圧感のある人がいると、普段はできることなのに、緊張してケアレスミスを起こしてしまうなどということは、私にも経験があります。

しかし、相手を威圧的に感じることのほとんどは、自分の思い込みによって膨らんでしまったイメージであると自分に言い聞かせてみたところ、落ち着いて接することができました。

職場に威圧的な人がいても、滞りなく仕事ができるよう、淡々とやるべきことに集中することが、すでに「うまくやっている」ということになっているはずです。

ですから、「私はうまく対処できているから心配ない!」というポジティブな思い込みにすり替えながら、必要な情報を理解し、確実に実行できる人を目指していきましょう。


文/吉原 珠央 写真/shutterstock

#2『元ANAのCAが解説「早く結婚したほうがいい」「恋人がいないなんて寂しい」ステレオタイプで語る残念な人が守れていない言葉のマナーとは』はこちらから

#3『元ANAのCAが注意「あなたにとって良い経験になるから」は実は失礼である…興味ないワインのうんちくを語りだすめんどくさい人と慎重な人は紙一重』はこちらから

「絶対に後悔しない会話のルール」
吉原 珠央 (著)
元ANAのCAの「絶対に後悔しない会話のルール」…あなたの先入観による失敗を消す言葉、威圧的な人の態度に油注ぐ危険な言葉とは_4
2023年9月15日発売
990円(税込)
新書判/200ページ
ISBN:978-4-08-721281-5
【コミュニケーション能力は「観察」で変わる!】

「初めて会う相手と会話が盛り上がらない」「人と話すといつも同じような会話にしかならない」「会社の部下とうまくコミュニケーションが取れない」……コロナ禍が沈静化してきたことで対面のコミュニケーションの機会も多くなったが、会話がうまくいかず、様々な後悔や悩みを抱えている人も増えている。
しかし、「思い込み」「決めつけ」「観察」という3つのキーワードに気を付けるだけで、会話における後悔は格段に少なくなる。
数々のベストセラーを世に送り出してきた著者による、人生を楽しくする会話術の決定版!

【おもな内容】
◎話す前には2秒黙る
◎相手の「単語」に着目する
◎会話の流れは「徹子の部屋」に学べ!
◎「いや待てよ」を口癖にする
◎人の幸不幸を決めつけない
◎あなたの問題解決を阻むのは思い込み
◎相手の思い込みをポジティブに変える方法
◎観察力がある人は失言しない
◎威圧的な人とうまく付き合う方法
◎安心感を与える「言語化」
◎エレベーターの待ち方にセンスが出る
◎「テーブルのガタつき」をすぐ直せる人になる

【目次】
まえがき
第一章 「思い込み」がコミュニケーションを台無しにする
第二章 「心地好い会話」の裏には観察がある
第三章 人生を劇的に変える会話の仕方
あとがき 
amazon 楽天ブックス honto セブンネット TSUTAYA 紀伊国屋書店 ヨドバシ・ドット・コム Honya Club HMV&BOOKS e-hon