火に油をそそぐような言葉
おそらく「あなたの言い方は威圧的です!」と言っても、火に油を注ぐようなものですから「恐れ入りますが、一つだけ確認させてください」とか、「ご指示の内容は、○○と△△という2点のみという意味で承知しました」などと、相手に「答えだけくれればいい」というニュアンスのある、明瞭簡潔で理論的な訊き方を徹底してみるのも得策です。
もし、自分自身が威圧的になっていないか気になる方は、「お前」「あなた」といった代名詞を封印し、相手の名前を呼ぶことと同時に、「ありがとう」「助かります」などという言葉の使用頻度を高めてみましょう。
さらには、「そうなんですね」「なるほど」などと言うときには、普段より1〜2秒ほど、語尾を長くして、ややゆっくりで、ソフトな言い回しにチャレンジされるといいでしょう。
また、威圧的だという印象を持たれている人の中には、実は内面は懐の深い人物なのだけれど、言動が粗雑なために(この時点で本人には改善してほしいですが)、周囲の人たちを畏縮させてしまうとか、周囲の噂が先行しているだけで、会って話してみると本人は大して威圧的ではなかったなどということもあります。
ですから、もしあなたの職場で、「新しく配属される店長の○○さんは、威圧的で有名らしいよ」などと、誰かの噂を耳にしても、実際に、あなた自身が、その店長の○○さんと話してみるまでは、勝手な思い込みをして、極度な緊張状態に自分を追い込まないよう気をつけましょう。
威圧感のある人がいると、普段はできることなのに、緊張してケアレスミスを起こしてしまうなどということは、私にも経験があります。
しかし、相手を威圧的に感じることのほとんどは、自分の思い込みによって膨らんでしまったイメージであると自分に言い聞かせてみたところ、落ち着いて接することができました。
職場に威圧的な人がいても、滞りなく仕事ができるよう、淡々とやるべきことに集中することが、すでに「うまくやっている」ということになっているはずです。
ですから、「私はうまく対処できているから心配ない!」というポジティブな思い込みにすり替えながら、必要な情報を理解し、確実に実行できる人を目指していきましょう。
文/吉原 珠央 写真/shutterstock
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