もはや公営競技は必要ないのか
現在の日本で、自治体にとって公営競技からの収益の財源上の比率はかつてに比べ格段に小さくなっている。
では公営競技はもうなくてもいいのか?
そういう意見もあるだろう。だが、筆者はそうは思わない。むしろ、地域社会に必要とされるものとして存在するべきだと思う。
ハード面でいえば、いざというときの災害対応拠点施設としての利用が考えられる。
たとえばボートレース場の多くは大きな河川や港湾に隣接する。地震等で道路が寸断された場合、舟運の拠点としての活用が可能だろう。
実際、ボートレース戸田のスタンドは河川氾濫時の垂直避難場所として提案されているという。
ボートレース場に比べると競輪場は市街地に比較的近いところに立地していることが多い。
市街地に近くて、広い駐車場がある施設というのはなかなかない。
競馬場には広いフィールドがある。住民の避難先として活用しうるだけでなく、ヘリポートとしての利用も可能だろう。
開催日数の多いボートレース場では難しいかもしれないが、非本場開催日のほうが圧倒的に多い、競輪場やオートレース場のスタンド施設などは多目的な利用がなされてもいいのではなかろうか。
一例をあげると、2002年に竣工した函館競輪場のホールは非開催日には一般に貸し出されている。
新スタンドがオープンして間もない頃、ここで小中学校の管理職教員の研修会が開催されたという。筆者が「競輪を一番敵視しそうな人たちの会をよくやりましたね」と当時の競輪事業部長に言ったところ、部長の答えは「だからこそ開催した。会議の合間に選手たちが練習している姿が目に入る。アスリートとしての彼らをみてほしかった」というものだった。