小児性愛障害を見つけるスクリーニングテストの開発を進める

これまでも小児性愛障害をもつ人が子どもと関わる仕事に就かないよう、海外で小児性愛障害を診断するためのスクリーニングテストが開発され、日本の一部の学習塾でも講師採用の際にテストが実施されてきた。しかし、その正確性や妥当性に疑問も指摘されているという。

「小児性愛障害に関して自覚症状を問われても、『ない』と言うに決まっていますよね。嘘をついている人間をあぶりだすことも必要です」

大橋准教授は、中学校での非常勤講師の経験があるほか、東京医科大学医歯学総合研究科で博士号(医学)を取得するなど、教育学や医学、生物統計学に造詣が深い。
これら複数の専門分野の観点から、小児性愛障害をより正確に診断し、活用できないかアプローチ。奈良大学社会学部の今井由樹子准教授とともに、小児性愛障害診断のためのスクリーニングテスト開発を進めている。

この研究は今年度から、国の科学研究費助成事業(科研費)にも採択された。海外の大学や国内の教育委員会などとも協力しながら、数年をかけてテストの開発をめざしている。

日本版DBSについての法案提出を見送った加藤鮎子こども政策担当大臣(本人Facebookより)
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今年度は、報道されたわいせつ事案を解析し、幼稚園や小中高といった学校段階や種別ごとに、教員の性犯罪の特徴を分析。そのうえで来年度は、これまでにわいせつ事案を起こした教員がどのようなきっかけで子どもにわいせつ行為をしたのか、教員をめざしたきっかけは何かなどを調査する予定だ。
そして2025年度ごろをめどに、教員がわいせつ事案を起こす要因の分析も参考に、小児性愛障害を診断するためのスクリーニングテストを開発し、小児性愛障害の治療の具体的手立ても確立していきたいという。

大橋准教授は、これらのスクリーニングテストを開発後は、学校現場だけでなく保育園、民間の塾などでも活用されることを望んでいる。

「小児性愛障害のスクリーニングには、人権擁護の観点から慎重な議論も出てくるでしょうが、日本版DBSだけでは不十分。研究者として開発を成し遂げ、教育現場での子どもへの性犯罪を防ぎたい」

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班