『ダウンタウンvsZ世代』にも感じるフォーマットさ
このような「年の差バラエティ」は、家族みんなでテレビを見る習慣が廃れた現代においても、まだ脈々と作られている。
たとえば定期的に日本テレビが特番で放送している『ダウンタウンvsZ世代』なんかがそうだ。
ちょっと気になるのは、こういう世代ギャップ番組が「一方的に昔話を若者に聞かせる」方向に偏ってきていることだ。
Z世代にも平成レトロブームがあったように、若者もある程度古いものに興味はあるだろうし、昔のインパクトある映像や大御所芸能人の若い頃の姿には驚きもあるだろう。
しかし、これだとやっていることは昔ながらの職場の世代トークと変わらない。
「昔のテレビってあんな無茶やれたんだぜ」と言われても、Z世代の代表として呼ばれている子たちは、優良新入社員のように大人が喜ぶようなコメントをするしか選択肢がない。
挙句に「昭和の人ならできる」類いのことをやらされて、できない様を笑われるのは、『噂の!東京マガジン』(TBS系列)の“やって!TRY”と発想が同じである。
懐かし映像を楽しみたいなら、若者を巻き込まず、アダルト世代だけでノスタルジーに浸ればいい。いや、まあそういった役回りも若者タレントの仕事ですよねというのもわかるが「vsZ世代」とまで銘打つ必要はないだろう。
脱オールドメディア。テレビは若者向けに舵を切っているが…
では、近年のテレビは引き続きオールドメディアで、やっぱり年寄りに向けてしか番組を作っていないかというとそんなことはない。
視聴率指標の変更や、TVerも含めた視聴デバイス・視聴習慣の柔軟化により、明確に若者向けに舵を切っている番組も多数ある。
出演者だけでなく、作り手という意味でも、バラエティやドラマ中心にかなり若い層に番組作りが任されてきており、注目の若手ディレクターは各局ともゴロゴロといる。
じゃあいいじゃんということでこの原稿を終わらせてもいいのだが、一応この連載は「考えすぎる」のがモットーなので、もう少し問題提起したい。
ドラマやバラエティなどの娯楽色の強いコンテンツはともかく、たとえば報道はどうだろう。