強豪校に女子マネは少ない?

次に「強豪校と女子マネージャー」についてです。甲子園などでもたびたび話題になる女子マネージャーですが、ここでは「0人」というチームが47.8%にのぼりました。

2023年夏の甲子園大会。試合前練習で、ノッカーの尾崎監督にボールを渡す宇部鴻城(山口)の岡野美和さん
2023年夏の甲子園大会。試合前練習で、ノッカーの尾崎監督にボールを渡す宇部鴻城(山口)の岡野美和さん

▼女子マネージャーの人数
0人 47.8%
1~ 3人 19.6%
7~ 9人 15.2%
4~ 6人 13.0%
10~12人  2.2%
無記入 2.2%


とはいえ、ジェンダーレスが叫ばれて久しい現代では、女子マネージャーのあり方も見直されつつあります。以前まではドリンクの準備、ユニホームや道具の補修、スコアの記入などが女子マネージャーの仕事でした。近年はノックの補助(球つぎ)に留まらず、自らノックを打って話題になる女子マネージャーも出てきました。

組織は全員が華々しい主役になれるわけではありません。たとえ地味な裏方に見える存在であっても、やりがいをもってアクティブに働いてくれる存在が組織を支えています。

「野球留学生」は是か非か?

高校がある都道府県外の地域から越境入学する野球部員は一部で「野球留学生」と呼ばれ、しばしば批判の対象になります。今夏の甲子園では、八戸学院光星(青森)と高知中央(高知)のベンチ入りメンバーで地元の県内出身者が2名ずつに留まりました。私たちの調査では、県外部員数の人数は以下のようになりました。


▼県外部員数
1~20人 50.0%
0人 19.6%
21~40人 15.2%
41~70人 13.0%
無記入   2.2%


甲子園ベスト16経験校のなかで県外出身の部員が在籍するチームは約80%、その中で21名以上在籍するチームは約30%でした。夏の甲子園は地方大会を勝ち抜いた49校が出場する構造になっていることもあり、地元出身選手が少ないと地域のファンから応援されにくい一面があります。ただし、一概に「県外部員」と言っても、自宅が隣県の境にあり、通学しているケースもあります。

近年では、「少子化の影響で都市部から越境入学生を呼ばないと学校経営が成り立たない」「越境入学生であってもその地域を選び、汗を流したのだから問題ない」「地元出身の球児が越境入学生から刺激を受け、地域のレベルを高めている」など県外部員に好意的な見方も出てきています。

また、県外部員にとっても高校生にして故郷を出て、寮で仲間たちと共同生活する3年間は大きな実りとなります。越境した地域を「第二の故郷」ととらえ、愛着をもつ県外生も多いようです。

県外部員の存在が「私立優位」の勢力図を生み出す一因になっている可能性はありますが、過疎化が進む地域の振興を促す側面もあるのです。