ブランド志向の男性か朴訥とした男性か
こうした婚活は、無理やり相手を探しているようで、私だったら恥ずかしくてできない。なぜそこまでして結婚するのか。無理やりめぐりあって楽しいのか。
そう問うと、知人女性は、「自然に相手が見つかるに越したことはないが、婚活をしないと相手が見つからないのでするのだ」と言う。「見つからなければ結婚しなければいい」と私が返すと、「いや、結婚はしたい」と応える。
つまり相手がいるから結婚したいのではなく、結婚したいから相手を探す。私には順序が逆のように感じられるが、この順序が現代の婚活なのだと知る。結婚を望む人は、相手より先に、結婚というかたちを求めているのだ。
昔も結婚相談所はあって、結婚の世話を焼くことを職業にしている人はいた。「そういう人に頼み込んでまで、誰かと一緒にいなければいけないの?」と私は不思議に思っていたし、いまも思っている。そういう場所でいい相手とめぐりあえる人もいるのかもしれないが、私は疑っている。
そう感じるのは、私の身近にも婚活をして結婚した男性がいたからだ。つれあいの教え子で、就職ではマスコミ何社からも内定をもらうような優秀な男性だった。就職後、彼はほどなくして婚活を始めた。そしてマッチングアプリで出会ったという婚約者の女性を、つれあいと私との食事会に連れてきた。
女性と少し話して、「絶対にやめたほうがいい」と思った。相手の女性が、明らかにブランド志向だったからだ。着ているものや持ちもの、そして話す内容で、外見を重視する人間であることが伝わってきた。
一方、教え子のほうは、見栄えがよいわけでもおしゃれでもない朴訥とした男性だ。率直に言って女性にモテるタイプではない。仕事熱心で優しいところを私とつれあいは好んでいたが、そういう内面の美徳よりも、彼の会社名や学歴を、彼女がより好んでいるだろうことは容易に想像できた。