第一声は“第二の実家”岡田青果店の前で
選挙運動初日の“第一声”をどこにするか──。
いくつかの候補地が出ましたが、私の中ではある場所に決めていました。大阪市港区の繁栄商店街にある岡田青果店の前です。高知から大阪に移ってきた小学生の私が、最初にアルバイトをさせてもらった八百屋さんです。
すでに触れましたが、芸人になってからも近くを通る用事があれば寄らせてもらい昔話に花を咲かせていた、私にとっては第二の故郷、いや第二の実家のような場所です。私が社会に出た最初の地であり、初心に帰って自分を見つめ直すのには一番の舞台だと考えたのです。
ただ、このお店は商店街の中にあります。商店街にはいろいろなお店が軒を連ねていて、それぞれで様々な意見をお持ちの方がご商売をされています。そのため「商店街」として許可することは難しい──というお返事をいただきました。
すると、岡田青果店のご主人から連絡がありました。
「商店街としては許可できなくても、うちが許可すればうちの店の前で演説することくらいはできる。小さいころから頑張って働いてくれたんや。うちの前でしゃべってくれ」
ありがたい申し出に涙が出そうになりました。
その後ご主人は亡くなられたのですが、いまでもおじさんと三輪トラックで奈良の農家に買い出しに行った時のことなどが鮮明に思い出されます。行きは助手席に乗っていき、帰りは野菜と一緒に荷台に乗り込み、大切な野菜が落ちないように押さえつけながらお店に帰ってきたものです。
ご主人の計らいのおかげで、私の選挙運動は「岡田青果店前」からスタートすることができました。