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政治を志したきっかけ 

私が政治に興味を持ち始めたのは、やすきよが絶頂期を迎える前の20代のころのこと。きっかけは、「ぼやき漫才」で一世を風靡(ふうび)した人生幸朗(じんせいこうろう)・生恵幸子(いくえさちこ)師匠のお誘いで、刑務所や拘置所などの矯正施設、老人ホームや児童養護施設などに慰問活動に行ったことでした。これを機会に、福祉政策について考えるようになったのです。

師匠お2人とも、晩年は特に慰問活動に力を入れていらっしゃいましたが、施設慰問を始めたきっかけは、人生幸朗師匠がかかりつけにされていた歯医者さんとのご縁からだったそうです。

毎週土曜日になると歯医者さんの息子さんとお孫さんと3人で、福祉施設に訪問診療をされていました。ご自分の診療所に新しい機器が入ると、それまで使っていた機器を施設に寄付することで、訪問診療の質を高める取り組みを独自にされていたのです。こうした活動を知って、師匠たちもボランティアで慰問を始めたそうです。

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芽生えた「福祉」への思い…夢は老人ホームを建てること 

そんな形で20代のころから始めた施設慰問の経験から、私は「福祉」に興味を持つようになります。当時から日本がいずれ高齢化社会を通り越して「超高齢化社会」になることは分かっていました。そんな中で介護を必要とする人に十分なお世話をするにはどうすればいいのか──ということを真剣に考えるようになっていたのです。30歳の時に出させていただいた『ただいま奮戦中』(ペップ出版)という本の中で、「ボクには夢があります。それは老人ホームの建設です」と書いたくらいです。

というのも、いまは3人とも亡くなりましたが、当時の我が家には私の両親とヘレンのお母さんという3人の高齢者がいました。父親は胃潰瘍を悪化させてうつ病を併発して寝たり起きたりの生活、母親は認知症、ヘレンのお母さんもその後寝たきりになっていきます。

テレビや舞台の仕事の忙しさを理由に、我が家のお年寄りたちの世話をすべてヘレンに任せていた私は、彼女に感謝しかありません。

しかし、ヘレンは介護疲れに加えて更年期障害も発症し、本当に大変な思いをすることになります。そしてそれは、これからの日本では、どの家庭でも起き得ることなのです。

こうした問題を解決するには、各家庭に任せていたのでは無理があります。国が、政治が本気で取り組まなければ、問題の解決にはならない。そう、当時は高齢化社会の問題に目を向けている人は少なく、「解決に向けた動き」すら乏しい時代だったのです。