すべての収容施設の解体を

予定不調和、意志のコントロールに服さない「態変」のパフォーマーの身体だからこそ創り出せる表現がある。貫徹した能力主義が社会に及ぼす閉塞感と圧迫感。そこから解放されるためのヒントが、「態変」の身体表現の中にあるのではないだろうか。

「私はポリオ(急性灰白髄炎)で身体的には介護が必要ですが、言語障害のあるCP(脳性麻痺)の障碍者と違って普通に喋れます。障碍者性と健常者性のふたつを持ち合わせている。それを私は間性(あいだせい)と呼んでます。この間性はとても重要で、だからこそ出てくる発想もあるんです。

人間って、自分の中に対立するふたつの性質があると捉えると、そのことがしんどくなって一つに統合しようとするんですよね。でもその統合というのは、常に健常者側のペースで行われる。それこそが当たり前とされているから。その逆を一回やってみたらどうなん?

例えば、脳性麻痺の障碍者の場合は多いんですけど、自分の意志とは全くの逆方向に身体が動いてしまう。それってある意味とても正確な反応でしょう? 脳ではなく、身体がそっちを意識しているからこそ、相対化して反対に動くんやから。めちゃ正直やん(笑)。

お利口にそのままいくんじゃなく、正直に反発するほうを自分だと捉えてみる。そうすると今度は逆に、健常やと思ってたほうが他者になる。そういう発想を持つと、自分の意志を裏切って全然思ってないとこに行く正直な身体こそが、表現においても物凄く大事なのです」

〈相模原障碍者施設殺傷事件から7年〉「障碍は不幸じゃない。自分の意志をも裏切る正直な反応が表現においては大事」金滿里さん「態変」主宰者_4
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滿里さんは、事件発生から毎年7月26日に開かれる追悼アクションにて、事件に対する思いを言語化してきた。そこで紡いでこられた言葉を、今一度伺った。

「言い続けてることは、すべての収容施設を解体せよってことなんです。学校も、入管も、殺された相模原の障碍者施設もそうですよね。私はかつて収容された者として、その檻っていうものをぶち壊さないといけないと思ってます。施設の隔離性が当たり前になっている世の中で、その蓋を開けていかない限り事件の異常性を本気で自覚できない。みんながそう思わなあかんと思ってる」

取材・文/金愛香

『私たちはアフリカからやってきた』プレ企画  態変アフリカdays vol.1
ナミビア エクスペリエンス
with テンギョー・クラのアフリカンジャンボリー
【日時】7/29(土) 18:30 開場 19:00 開演
【チケット】1000円

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