中1の息子を預けた母親に話を聞いた
利用者の1人、山田渡君(仮名)は現在中学1年生。藤田氏から「塾の時間でしょ」と促されていた少年だ。新宿のショートステイ制度を使い、昨晩はここに泊まったという。
「ここには大人も子どもも、いろんな人が出入りしていて、1人にならないからすごく楽しいです」(山田君)
彼の母はエンジニアだという。出張が多いため子どもを「れもんハウス」に預けている。
その山田君の母親にも話を聞いた。
「最近、職場が変わったばかりで、今度の仕事は1週間近く出張することもあります。そのため、こうしたショートステイ制度は大変助かっています。実は最初は、別の協力家庭にお世話になるはずでした。ところが私の出張直前、突然先方の具合が悪くなったとキャンセルになってしまったんです。でも、出張の日程を遅らせるわけにはいかない。困り果てていたところ、『れもんハウス』が受け入れてくれたんです。
それ以来、ここを利用させてもらっていますが、何よりも子どもがここをとても気に入ってるんです。寂しくないところがいいと言っています。年の違う人たちが集まっているから、本人にとっていい刺激になっているんだと思います。唯一、心配なのは建物が古いため大地震が起きたとき大丈夫かなと思うことくらい。あとは親として特に心配していることはありません」
この日の夕食は、大皿に乗ったペンネ、ポテトグラタン、きのことニンジンのサラダ。山田君をはじめ、協力家庭登録メンバーや利用者の6人が1つの食卓を囲んで談笑する姿があった。
「なぜこのような施設をやりはじめたのでしょうか?」
そう記者が問いかけると「ここは施設じゃないんですけどね」と藤田氏は笑顔で首をかしげた。
「私は、もともと都内の母子生活支援施設で働いていたんですよ…でも施設でやれることには限界があって…」
後編では藤田氏が「れもんハウス」をオープンすることになった経緯と共に、世代を問わらず“求められている居場所”について詳報する。
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取材・文/ 甚野博則
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影 撮影/Soichiro Koriyama