何が乳幼児の愛着に影響するか

メアリー・エインスワース、シルヴィア・ベル、ドネルダ・ステイトンは幼児愛着の研究をおこなった(1971、1974年)。長年にわたりくり返された研究だ。この研究には、母親の特性――乳児の愛着行動が安定型か不安定型かの特性を観察し、明確にする、というものも含まれた。1974年に発表された論文で、乳児に対する母親の行動を4つの特徴から評価した。

敏感性⇔鈍感性、受容⇔拒否、協調⇔干渉、近づきやすさ⇔無視、だ。そして、母親の「敏感性尺度」が「大事な変数」であることをみいだした。

「敏感性の高い母親は、例外なく受容、協調、近づきやすさの尺度も高く、ほかの尺度のいずれか1つでも低い母親は、敏感性もまた低い」ということだった。

母親が敏感であればあるほど、乳児もより安定した愛着行動を示すことが実験において明らかになったとしている。

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論文では、安定型の愛着行動を示した乳児の母親、敏感性の高い母親を次のように説明している。

「敏感性の高い母親は一般に乳児に心を開いており、乳児が発するごくかすかなコミュニケーションやサイン、願望、気分の変化にも気がつく。さらに、乳児の感覚を正確に理解し、共感を示す。したがって、すべてにおいてふさわしいやりとりを、適切なタイミングで乳児とおこなうことができる」

だが不安定な愛着行動を示す母親の行動はちがう。次に紹介するのはエインスワースらが言う敏感性の低い母親像だ。

敏感性の低い母親は乳児の行動の多くに気づかない。乳児を無視するか、かすかでわかりづらいコミュニケーションを認識できないのだ。行動に気づいても、その意味が理解できずゆがめて考えることも多い。

多少は理解できていても、共感はむずかしい。そのため適切なコミュニケーションがとれない。対応ができてもその種類や質が不適切なことが多い。つまりちぐはぐで中身がないのだ(エインスワース、ベル、ステイトン、1974年)。

要するに、母親の敏感性と共感力のレベルが、母子関係における乳児の愛着行動の質に多大な影響をおよぼしているのだ。