「インバウンド前から地元客は来てくれなかった」
別の老舗店の従業員も黒門市場が変わってしまった背景をこう説明してくれた。
「今から7~8年くらい前、“爆買い中国人”が話題になったころに、外国人観光客が一気に増えだして、正直、かなり助かりました。黒門市場は外国人にすり寄ったんじゃなくて、変わらざるを得なかったんです」(50代・男性)
黒門市場は2000年代に入ってから、大型スーパーの参入やネットショッピングの普及で、地元のお客さんは減り、婦人服店や豆腐屋といった昔ながらの店も潰れていった。
そんな”冬の時代”を救ったのがインバウンドだったとこの店員は話す。
「今になって地元の人たちは批判してきますけど、『その前からあんたたち来なかったじゃん』と言ってやりたいですよ。ほら、そこの鮮魚店も、昔は高級料亭に食材を卸すような有名店でした。外国人が商品棚を見ていると追い払ってたぐらいだったけど、インバウンド需要に対応して、店内にテーブルを置いたり、店先に商品を並べて食べ歩きできるスタイルに変えたんです。
僕らのような同業者から見ても『ちょっと高すぎでは?』と思う店もあるけど、そういった事情があることもみなさんには知ってもらいたいです」(同)
時刻は夕方5時。ふつうの商店街であれば、夕飯の買い物客でにぎわうはずの時間帯。しかし、黒門市場は減っていく外国人観光客に合わせるように、早々にシャッターを下ろす店が目立っていた。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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