“ぼったくり”と言われても罪悪感はなし

焼きエビ1匹2500円で売っていた鮮魚店の店主もこう言い放つ。

「うちは5〜6年前、インバウンドで黒門市場が盛り上がってきたときに『ここなら儲かるかも!』と思ってオープンしたんです。元から外国人観光客がメインターゲットで、日本人相手に儲けようとは思ってない。
ネットで“ぼったくり”と言われても罪悪感はありません。商売人である以上、スタッフを養わないといけないし、高い家賃も支払わないといけない。毎日がプレッシャーの日々なんでこっちも真剣ですよ」

生牡蠣1個1300円で売っていた鮮魚店の50代男性に話を聞くと、「ヨソの値段設定に合わせただけ」と頑なだったが、次第に神妙な面持ちで語りだした。

※写真の店舗は本文中のコメントとは関係ありません
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「最初、うちは外国人向けに商売している店をバカにしていたんです。でも、地元のお客さんは全然こっちに来てくれないし、『これから生き残れるのか?』と考えたら、にぎわっている店をただ指をくわえて見てるなんてできなかった。だからしかたなく今のような営業スタイルに変えて、商品の値段もつり上げたんです」

しかし、この店員は「だからといって決して地元のお客さんを蔑ろにしているわけではない」と胸を張る。

「たとえば、黒門市場では長年にわたって“夜市”を開いていて、地元のお客さんあっての商店街だと重々承知しています。なにも知らない人たちは『地元を捨てて外国人にすり寄った』と思われるかもしれませんけど、やれることは精一杯やってるんです」