取り返しがつかないほどの大きな〝実力の差〞に

一見、些細な違いに思えます。でも、この意識の差が、ほんの1、2年で、取り返しがつかないほどの大きな〝実力の差〞になってしまうのです。

私自身、現在84歳ですが、興味を持っているAIについて、研究者と話し合う時間を定期的に持ち、時代に取り残されないよう常にアップデートを心がけています。

新しいことを知るということは、いくつになっても、とてもエキサイティングなものですし、「前のめりになって、変化を楽しむ」ということを一度味わうと、習慣になります。中高年のみなさんにも、ぜひとも変化することをもっと楽しんでほしいと思っています。


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AIが持ち得ない「感性」をフル活用する

経済学者の成田悠輔さんは著書『22世紀の民主主義』(SBクリエイティブ)で、「人間の政治家はいらない。AIにすべてを任せてしまえばいい」と発言されています。

家やオフィスや街で発する言葉、表情、心拍数など国民一人ひとりのあらゆる情報をインターネットや監視カメラで吸い上げ、膨大な民意データを収集する。それを解析して国民が生活のなかで何を重視しているか、何を社会に期待しているかを探る。その上で国内総生産や健康寿命の目標値を考慮し、アルゴリズム(計算手順)に従って最適な政策を選択していく――成田さんはそんな「無意識データ民主主義」を主張します。

たしかに昨今の政治家の体たらくを見れば、絵空事とは言え、AIに任せたほうがマシかもしれないと、つい思いたくなることはあります。

このアイデアは、実際にすべての政策立案、遂行の判断をAIに任せたら、社会はどの程度うまく回るのか、国民はおとなしく従うのか、行政官はどういう仕事をすればいいのか、そもそもAIが導く結論は正解なのか――、そんなことをあれこれ想像させます。

少なくとも、これからの民主主義のあり方を考える上では示唆に富んだ〝思考実験〞かもしれません。