閉店のニュースを聞いて初めて訪れた女子大生ふたり組も
大塚バッティングセンターへの思い入れがあるのは男性だけではない。
「閉店するというニュースを見て久しぶりに家族で来ました。私は生まれも育ちもこのあたりで、小さいころは野球をやっていた兄に無理やり連れてこられてました。私は打たないので渡されたお小遣いはクレーンゲームに使ってましたね。
結婚、出産を経て母親になったら、今度は野球を始めた息子に連れてこられることに(笑)。
やっぱり今もゲームセンターで時間をつぶしていて『小学生のころと変わってないな』と思いましたけど、それと同時にいろんな思い出がよみがえってきました」(40代女性)
閉店のニュースをテレビで見て、今日初めて来店したという女子大生ふたり組も。
「今、昭和レトロにハマっていて、大学の空きコマによく純喫茶や洋館に行ったりするんです。それでここが閉店すると聞いて友達を誘ってきました。このレトロな雰囲気がたまりません(笑)」(20代女性)
最後に声をかけたのは地元の少年野球チームで半世紀も監督を務めていたという80代男性だ。
「50年間で200~300人近くの子どもたちを指導してきたし、このバッティングセンターにもよく連れてきてましたね。
この前、元教え子に『飲みに行きましょう!』なんて誘われて。昔はあんなチビッ子だったのにみんないいパパになってるんです。
今日、久しぶりにここに来たら、昔のことをいろいろ思い出してしまいました。僕にとってはすごく大切な場所なだけに、閉店は残念ですね」
多くの人の思い出に深く刻まれる大塚バッティングセンター。残された時間まで、痛快な打撃音が響きわたる――。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班