「新しいバッティングセンターよりここがしっくりくる」

記者が取材に訪れたこの日も、店内は多くの利用客で賑わっていた。
バッティングブースから出てきた人たちに声をかけると、それぞれの思い出を語ってくれた。

「僕は近くの会社に長く勤めているんですけど、デスクワークがメインなんでお昼休みに急いで昼飯を食べて、ここでバットを思いきり振るだけでリフレッシュできるんですよ。
ここに来るのが仕事のモチベーションだったので、すごく残念です」(50代男性)

メダル入れがなかったころ。マイクで打撃ブースを案内している
メダル入れがなかったころ。マイクで打撃ブースを案内している

「今日は息子と一緒に来ました。私も小中校は野球一筋だったので、当時住んでいた王子から仲のいい友達7、8人と都電荒川線に乗ってよく遊びに来てましたよ。
当時はまだメダル入れがなくて、フロントの人に『お願いしまーす!』と声をかけると『じゃあ3番ブースね~』と案内してくれました。
そんな自分が今は息子を連れてきてるなんてとても感慨深いし、感謝の気持ちでいっぱいです」(40代男性)

大阪から転勤してきて以来、20年近く通っていたというサラリーマン男性
大阪から転勤してきて以来、20年近く通っていたというサラリーマン男性

「都内に転勤してきてから20年近く通ってました。
ピッチングマシンには、プロ野球選手が映しだされる電光掲示板越しに空気を圧縮してボールを放つ最新の“エアー式”と、投手の腕の振り同様にアームで球を投げる “アーム式”などがあります。
ここより設備がいい新しいバッティングセンターはたくさんあるけど、僕はやっぱり昔ながらのアーム式がしっくりくるので、ここが好きでした。
58年間毎日ボールを投げ続けたマシンに『お疲れさま』って言ってあげたいです」(50代男性)