通算2000本塁打を打った猛者も

利用客に楽しんでもらいたい、バッティングのおもしろさを知ってもらいたい。そんな心意気を感じる企画、サービスの数々が長きにわたり愛されてきた理由のひとつなのだろう。
その歴史の長さを証明するのが、壁に立てかけられたメモリアルボードだ。

お客さんの通算ホームラン数が刻印されたメモリアルボード
お客さんの通算ホームラン数が刻印されたメモリアルボード

「100回以上ホームランを打たれたお客さまには、ボードに名前を刻印しているんです。なかには2000本を達成された方がふたりもいます。巨人の王(貞治)さんだって868本なのに(笑)」(同)

近年では、音楽誌「ROCKIN'ON JAPAN」(2017年11月号)で米津玄師の撮影場所として使われたり、「乃木坂どこへ」(2020年5月12日放送)のロケ地となったりと、メディアの露出も増えていた。今年3月に行なわれたWBCの影響もあって、土日には満員になることも珍しくなかったが、後継者不足などにより営業を続けることができなくなってしまった。それでもスタッフの女性は「ここで働けて本当によかった」と振り返る。

閉店の告知
閉店の告知

「大変なこともありましたが、やっぱり子供たちの笑顔には癒されました。
『ねぇねぇ、今日はホームラン打てたよ!』とか『いまは○○っていう野球チームに入ってて~』と、うれしそうに話しかけてくれるんです。
初めてバッティングセンターに来たお子さんなんて、ホームベース上に立ってしまったり、バットを逆さに持ってしまったり。それを保護者がツッコんでいるほほえましい光景を見ると『この仕事しててよかったなぁ』と思いますね」