写真館をリノベーションしたシネマ+小屋=シネコヤ
“映画と本とパンの店”を謳ったミニシアター「シネコヤ」(神奈川県藤沢市)がオープンして、今春で5周年を迎えた。元写真館をリノベーションした昭和レトロな建物で、客席数もわずか22席とこぢんまりしていることから、ちょっと遠慮してシネマ+小屋=シネコヤ。
しかしそこには一歩足を踏み入れた瞬間、個人宅のプライベート空間に招かれたような居心地の良さとゆったりとした時間が流れている。シネコヤのトレードマークになっている猫のごとく、自分のお気に入りのスペースを見つけてまったり過ごしたい。
江ノ島に向かう観光客を尻目に、小田急江ノ島線・鵠沼海岸駅で下車し、鵠沼海岸商店街(マリンロード)を歩くこと約3分。昔ながらの酒店や雑貨店などを眺めながら、見えてきたのが「シネコヤ」の文字。元写真館の面影を残した大きなショーウインドーと共に、以前の店名「カンダスタジオ」の文字が刻まれた電灯看板の存在がニクい。
扉を開けて、まず目に飛び込んでくるのが美味しそうなパンの陳列棚。緑豊かな神奈川県山北町の空き家を改装した工房で、自家製天然酵母を使って焼き上げた「Desture-デスチャ-」の商品だ。
さらに奥へ進むと喫茶スペースがあり、周囲をぐるりと本やパンフレットが取り囲む。本は、ざっと3000冊。店主・竹中翔子さんの所有物もあれば、鎌倉在住者から寄贈された1970年代からの「キネマ旬報」も揃っているという。