ネコは30歳、ヒトは125歳まで生きる日が来る? 奇跡のタンパク質「AIM」の最前線(前編 AIM研究所=IAMの発足)
老齢期になると多くのネコは腎臓病にかかる――。このことは愛猫家の間では広く知られた事実だった。ところが医師で研究者の宮崎徹氏は、血中のタンパク質であるAIMがネコの腎臓病に効果があることを発見。ネコ薬創薬に向けての奮闘を『猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見』(時事通信出版局)としてまとめ、2021年8月に出版し大きな話題を呼んだ。この度、オーディオブック化されるのを機に、本の出版時からさらに前進したネコ薬創薬の現状を宮崎氏に聞いた。
『猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見』
オーディオブック化記念、宮崎徹先生インタビュー
ネコ薬は2〜3年以内に完成予定
――一般にAIMネコ薬が使えるようになるのはいつ頃ですか?
何もミステイクが起こらず非常に順調に進んだとしたら、今年の終わりくらいから治験薬を作ることになると思います。治験薬を作るのは3〜4ヶ月でできますので、来年から治験をスタートし、同時に申請をどんどん進めていけば2〜3年の間には。承認申請がなされればすぐに使っていただくことができます。ただ、期待を煽ってはいけないというのが、臨床の現場で私が最初に医者として教えられたことですので、確実にできるとお約束をすることはできません。とはいえ、IAMではネコ薬を第一に先行して完成させるつもりです。
――ちなみに東大に集まった寄付金はどうなるのでしょう?
東京大学基金の大変なご厚意によって、基本的にはほぼIAM(一般社団法人AIM医学研究所 以下IAM)に移せることになりました。新しく作った研究所に寄付金を移管するのはなかなか難しいと思いますが、非常に好意的に配慮していただきました。
■著書
猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見
宮崎 徹
2021年3月17日発売
1,980円(税込)
単行本/244ページ
ISBN:978-4-47-8871755-8
ネコにとって宿命的な病である腎臓病の治療が、血液中のタンパク質AIMによって可能になることを解明した、宮崎徹氏の最新医療研究をまとめた一冊。AIMはネコだけでなく人間にも効果があり、腎臓病のみならずアルツハイマー型認知症や自己免疫疾患など、これまで治せないと言われてきた病気への活用も期待できることをわかりやすく解説。印税の一部は、ネコと人間の腎臓病研究などの費用に充てられる。
オーディオブック版
人気声優・浅野真澄氏が朗読を担当。浅野氏自身も、保護猫4匹と暮らしている。
猫を愛するすべての人に聴いてもらいたい新作オーディオブック作品。
ナレーター: 浅野真澄
配信先:「audiobook.jp」 https://audiobook.jp/product/264300
価格:1,980円
サンプルはこちらから↓
取材・文/松山梢 撮影/石田壮一