相談したくなるトップ、そうでないトップ

話がやや脇道にそれたが、福田が女性記者に執拗に繰り返した「僕は仕事がなくなっている」という趣旨の会話は、何を意味するのだろう。「暇だから」という呟つぶやきも、単なる照れ隠しではない、次官の立場の一面をはしなくも露呈しているのではないかという思いにとらわれた。

「総合調整」を主な任務とする次官だけに、その時々で多忙であったり、そうでなかったり、時と場合によってさまざまなケースが想定される。そのため「次官は暇ですか?」と安直な質問もできないなと思いながらも、次官経験のある有力OBに福田の言葉の背景をストレートに問い質してみた。OBは「福田君は異常人格というわけではないが、奇を衒てらう変な癖のある人物だという印象は持っていた」と前置きし、優れて福田の性格を反映したものではないかとの感想を語った。

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「過去にも次官の時に処分を受けた先輩は何人かいるが、その背景は皆よくわかっている。事務方トップとして責任を取らされるのは気の毒と思う反面、これも時の運のようなもので、代表して責任を取るのは仕方がないで済む。でも、彼のセクハラ疑惑はまったく救いようのない話としか言いようがないですね。

仮に、仕事がない、暇だと本当に言っていたとしたら、あまり部下の相談に与あずかっていないタイプなのではないか。次官には、彼がそこまで言うなら矛を収めようと思わせる器量がためされるが、そこに至る以前に、あの人と相談しても仕方がないと思わせてしまう何かがあったのかもしれない。相談したくなる人とそうでない人、トップにはいろいろな資質が必要だが、これも一つの重要な要素だと思いますよ」