「近づけることによって何か得られるものがあれば」

――個人的な意見ですが、『サスケ烈伝』のカメラワークは、岸本先生のそれに似ているな、とも感じました。

たぶん、染みついたものなんじゃないかな。でも、自分で1から作る作品だったらこうやるけど、岸本先生だったらここをあえて遠巻きのレンズでやるな、とか、そういう意識はあったので、そこはあえて挑戦しました。

岸本先生にお会いした時に「廊下で “瑪瑙(めのう)”と戦うシーン、狭い通路でカメラの位置が難しいのに、すごいね」と言ってくださって、本当にありがたかったです。岸本先生こそ、狭い路地で戦うかっこいいシーンをたくさん描かれているので、そこへのリスペクトが伝わって欲しいな、と思っていたので。

あとは変に構図をつけないで、あえてフラットに見せたりするのも意識していましたね。

「『NARUTO-ナルト-』があったからここまで生きて来れた」と言い切る『サスケ烈伝』の木村慎吾。岸本斉史へのほとばしる愛とリスペクトと切磋琢磨_3
『NARUTO-ナルト-サスケ烈伝 うちはの末裔と天球の星屑』上巻 第2話

――もし、『サスケ烈伝』を岸本先生が描くなら、という意識があったということですか?

ところどころの大きいコマは岸本先生っぽくしたいな、という意識があって。そこまで意識しなくていいよ、と先生はおっしゃるかもしれないんですが…ちょうどその頃、自分の絵に対して悩んでいた時期だったので、先生に近づけることによって何か得られるものがあれば、と思っていました。