ナルトとサスケの螺旋丸
――木村慎吾さんならではの視点で選ぶ、『NARUTO -ナルト-』の名シーンを教えてください。
すごく悩んだんですけど、まず1つ目が、単行本25巻のナルトの“螺旋丸”とサスケの“千鳥”がぶつかるシーンです。こういうシーンって、ぶつかった瞬間を描きがちじゃないですか。
でも、これはそうじゃないんですよ。少し前のコマでぶつかっていて、ちょっとタイミングを空けてから、この見開きの絵になるんです。
なおかつ、水中から見ている構図っていうのがすごくて。衝撃の威力を気泡で描いた人って、ほかにいないんじゃないかな。その威力をさらに表現するために、スクリーントーンが貼られて、少し暗くなっているんですけど、水しぶきがバーっと溶けて、くっきりと2人が見える。この一連の絵、演出、もうすごいですね。
――ベスト1ですか?
ベスト5の順番はつけられないんですけど、その内の1つですね。
この1ページ前の、落ちてくるクナイの描写もすごく好きです。うちはマダラと千手柱間の少年期でも石が川底に沈む演出があるんですけど、「2人の今後の関係性」をメタファーとして表現しているような演出で、そこも含めて好きですね。