あのブランドとの意外なコラボも…

2019年からは通年型フラッグシップ店の「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」を銀座にオープンし、完璧な生ビール体験をより多くのお客様に届けるために取り組んでいる。

10年間で飛躍的に伸長した「サッポロ生ビール黒ラベル」は、なぜ20代の心まで掴んだのか。「ブランドの若返りを狙って、訴求ターゲットを若年層に合わせたのではありません」_5
銀座で常設されている「THE BAR」は一人2杯まで

今年は西日本エリアの大阪や福岡でTHE BARのポップアップを展開し、マーケティング活動を行っていくという。

直近ではビールのみならず、フィジカルアイテムの販売にも手を広げており、黒ラベルの会員サイト「CLUB黒ラベル」内のオンラインショップでは、キャップやデイバッグといったアパレル商品が並んでいる。

また、アウトドアブランドの「カリマー」とコラボしたバックパックには保冷機能が付いており、ビール党の心をくすぐるユニークな商品も販売している。

10年間で飛躍的に伸長した「サッポロ生ビール黒ラベル」は、なぜ20代の心まで掴んだのか。「ブランドの若返りを狙って、訴求ターゲットを若年層に合わせたのではありません」_6
「カリマー」とコラボしたバックパック
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「2022年に、麦芽やホップを収穫する際に廃棄される茎や葉を再利用したアップサイクルジーンズを販売したんですが、予想を大きく超える反響を呼んで、30本限定の抽選販売に対し、なんと1600件もの応募があったんです。今は普通に購入できるようになっていますが、ビール以外のフィジカルアイテムでも黒ラベルのブランド体験や世界観を訴求できるようにしていきたいですね」

ビール市場の縮小、酒税の一本化、物価高騰…など外的環境は厳しい状況にあるといえるが、今後も黒ラベルのブランド成長につながる取り組みを行っていくと野並氏は話す。

「お客様の求めている体験の質やニーズの一歩先を見越して、『機能的価値』と『情緒的価値』の両輪でブランド訴求していくことが大切だと捉えています。コロナ禍でできなかったリアル体験を軸に、黒ラベルの魅力をもっと多くに人に広めていきたい。今はそう考えています」

取材・文/古田島大介   画像提供/サッポロビール株式会社