「ターゲットを若年層に合わせたのではなく…」
また、2015年から西日本への販売網の強化や、黒ラベルの世界観を体験できるリアルイベント施策を本格化するようになったことも飛躍の一因だという。
ワゴン販売やポップアップ店舗、ビアガーデンへの出店など、リアルでのブランド接点を作ったことで次第に若年層にも黒ラベルの魅力が伝わるようになっていく。とりわけ、ライブやフェスといった若者が多く集うイベントへのブース出店は、黒ラベルの世界観を訴求するのにうってつけだった。
だが、単に白いテントで出し、ビールを販売するのではなく、黒ラベルの「黒」を基調にディテールにこだわり抜いたブースを設営することのを大事にしているという。
「シックでクラシカルな雰囲気をまとった重厚感のある黒ラベルのブースでは、大人が語り合いあえるバーのような空間を意識し、他のブースとは一線を画すような存在感を出すことに注力しています。
採算についても度外視というわけではありませんが、黒ラベルの世界観を出すことにかなりこだわっているので、目先の売り上げよりもブランディングや黒ラベルのファンになってもらうことを優先に考えています。
黒ラベルらしさを追求したブースに立ち寄っていただけたお客様の中には、注ぎ立てのカップを掲げ、写真を撮ったりしている方も多く、ブランド認知の向上に大きな効果を発揮していると実感しています」
また、フェスで提供するビアカップにも工夫を凝らしている。環境に配慮し、植物由来の生分解性素材を95%以上使用したプラカップで、泡や温度、注ぎにこだわったパーフェクト黒ラベルを提供しているという。
こうした随所に見られる黒ラベルの世界観の体現は、新たな競争軸として機能し、自然とお客の心をつかんでいったのではないだろうか。