日本の大手ビールのほとんどはピルスナー、クラフトビールは多種多彩!
5月。ビールの美味しい季節がやってきた。でも、コロナ禍での自粛ムードを一掃するのにはもう少し時間がかかりそう。だからなのか、こんなご時世こそ値段はちょっと高いけど、たまには奮発してクラフトビ-ルを買っちゃおう、なんて人が増えている。日本ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキさん、どうして今、クラフトビールが人気なのでしょうか。
「クラフトビールの最大の魅力は“選べる楽しさ”にあると思います」
まず最初に、「選べる楽しさ」。つまり、その味の多彩さに人気の秘密があるという。クラフトビールには「ビールって苦くて飲めない」という人でも美味しく飲める、桃やグレープフルーツ味のフルーティーなビールがあったり、フレーバーを楽しめるコーヒーやサワーテイストのビールがあったりする。そうした選べる種類の豊富さが最大の魅力になっている。
「これまで大手ビール会社のビールは画一的だったといえます。というのも、『一番搾り』『黒ラベル』『ザ・プレミアム・モルツ』『スーパードライ』など銘柄は数多くありますがそのほとんどがラガー(下面発酵ビール)のピルスナーと呼ばれる同じ種類に属しています。ビールのスタイルは100種類以上あるにもかかわらず、大手のビールのほとんどは同じスタイルなのです」
もちろん、大手のビールは研究を重ねて造られていて、安定して美味しいといった魅力がある。しかし、クラフトビールには様々な個性がある。無数にある個性の中から自分のお気に入りを見つけて応援する“推し活”の要素があるという。
「たとえば、大手ビールを超人気アイドルだとすると、クラフトビールは個性派ミュージシャンや地下アイドルのようなものですね。他とは違った音楽性や先取り感を楽しむ魅力があると思います」
その推し活を支えているのが「SNS」によるブルワリー(醸造所)からの発信にある。藤原さんは2つ目の魅力として、SNSを通じて造り手の顔が見えることを挙げている。