コロナ禍に苦しむ水産会社とタッグを組んで

これまで自らの飲食店でも生牡蠣を扱ってきた吉沢さんだったが、「冷凍の殻付き牡蠣」を仕入れた経験は、ほとんどなかったという。さまざまなツテを駆使したものの、仕入れ先探しは難航。宮城県庁にも相談に赴いたが、めぼしい情報は得られなかった。それでも事業化を諦め切れなかった吉沢さんは、「ローラー作戦」に打って出る。

「電話帳を片手に、宮城県内の水産会社に、片っ端から問合せをしていきました。すると、ある企業の営業担当の方が、一度会いたいと言ってくれて。話を聞いてみると、彼らはこれまで大手飲食チェーンなどに冷凍の殻付き牡蠣を卸していたのですが、コロナ禍の影響で飲食業界が低迷するなか、新たなビジネスの展開を模索していたようなんです。そういった背景もあって、私のアイデアにすごく共感してくれて。本来、個人とは取引をしないということだったのですが、特別に牡蠣を卸していただけることになりました」

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カキクケコの内観。

それだけではなく、全面的なバックアップを取り付けることにも成功。輸送費や倉庫の賃料なども一部負担してくれることに。一パック1,000円という低価格で殻付き牡蠣を販売できるのも、 そのおかげだという。

「取引先の厚意には本当に感謝しています。ただ、Win-Winの関係を築けなくては、ビジネスの長続きはあり得ません。これまで飲食業界で働くなかで培ってきたマーケティングやブランディングのノウハウを活かして、牡蠣の個人消費を促す仕組みを構築することが、私に期待される役割だと感じています」