NHKの降板最短記録作るんじゃないかなって
心配されていた
レギュラー化された新番組は『ともだちいっぱい』という教育番組で『つくってあそぼ』はその中のワンコーナーだった。工作の伝道師は20代後半のお兄さんという設定で、ノッポさんとは違って喋らせて進行させていきたいというNHKの意向があったそうだ。ただ、番組が始まった当初は色々な苦労もあったとか。
「私は普段から喋らないと生きていけないというくらい喋るのが好きなのですが、最初は『新しいやつはすぐ喋って面白くない』とか『新しいやつはヘタクソ』とか結構辛辣な投書が届いていましたね。いやいや、ノッポさんと比べられたらたまったもんじゃないわって思ってました。
NHKの上の方から『もう久保田はヘタクソだから降ろせ』って話もあったようですが、番組のディレクターと造形アイデアのヒダオサムさんが『まだド新人ですから長い目で見てやってください』って言ってくれて。NHKの降板最短記録作るんじゃないかなって心配されていたのですが、長い目で見ていただき、23年間続いちゃいました」
軽妙な語り口で冗談を交えながら話す久保田氏。いつかしか届く投書は『わくわくさんと(『つくってあそぼ』に登場するクマのキャラクターの)ゴロリくんの会話が面白い』と評価されていくようになっていった。
番組を始めて約3年後には声優業もやめ、わくわくさん一本に絞った久保田さんはこの頃からゴロリとのコンビネーションもどんどん良くなっていったという。
「ゴロリは子供代表で5歳って設定なんですよ。その子供の発想を大人のわくわくさんが形にしてあげる。『じゃあゴロリこうしてみようね』って。それで作った工作でゲームして遊ぶんですけどゴロリがうまくてね。ペットボトルの中に1円玉をストンと落とすゲームでゴロリは3回で成功して、私が30回以上入らなくてNG出しをしてしまうなんてこともあったし、私がゲームがヘタクソすぎて、ゴロリがゴロリの声ではなく素の声を出して笑ってしまうなんてこともありました」