目標は「住宅弱者というだけで断られない世界をつくること」

――強い思いから立ち上げた「FRIENDLY DOOR」。その事業内容と、他社サービスと差別化できている点を教えてください。

「FRIENDLY DOOR」は、住宅弱者と、住宅弱者に親身に寄り添う"フレンドリー”な不動産会社をつなぐポータルサイトです。実は全国各地には、住宅弱者に対してきちんと対応したいと思っていて、すでに対応できている不動産会社があります。問題は、その不動産会社が探しにくいことです。

そのためサイト上で、外国籍やLGBTQなどのカテゴリごとにフレンドリーな不動産会社を検索できるようにし、住宅弱者の住まい探しをサポートしています。こうしたポータルサイトを作ったのは、日本では私たちが初めてです。

最初は社内でも「慈善事業じゃないの?」という声もありましたが、すでに「FRIENDLY DOOR」事業でマネタイズ(収益化)に成功しています。

現在参画している不動産会社は約4,700件。取り組みを進めていくうちに趣旨に賛同する不動産会社が増えてきました。

――「FRIENDLY DOOR」を運営する上での目標は、サイト上に掲載されるフレンドリーな不動産会社を増やすことなのでしょうか。

違います。目標は「住宅弱者というだけで断られない世界をつくること」です。もちろん多くの不動産会社に参画していただきたいのですが、参画してくれた不動産会社が住宅弱者にきちんと対応できなければ意味がありません。

そのために立ち上げ当時から、住宅弱者に対応するノウハウを伝えるセミナーを開催するなどして、趣旨に賛同する不動産会社へのノウハウや情報提供を行っています。また、対応方法への理解を促進するため、住宅弱者ごとの特性や注意点を反映した「接客チェックリスト」を作成し、接客・対応に役立てていただいています。

上場企業勤めでも日本育ちでも、外国籍というだけで住宅弱者に。自らの原体験から立ち上げた「FRIENDLY DOOR」が立ち向かう社会課題_2
上場企業勤めでも日本育ちでも、外国籍というだけで住宅弱者に。自らの原体験から立ち上げた「FRIENDLY DOOR」が立ち向かう社会課題_3
公式note「不動産会社向け『障害者接客チェックリスト』に挑戦しよう」内より、「障害者(身体障害)接客チェックリスト」の抜粋

このほか、各不動産会社を対象にLGBTQやアンコンシャスバイアス(無意識に思い込みや偏見を持つこと)に関する研修の提供など、さまざまな活動を行っています。