「お好み焼課」に課せられたミッション
「もともとは営業のサポート部門で、オタフクソースの主力である『お好みソース』のシェアをさらに増やすために、営業のフォローをすることが目的でした。会社としてお好み焼きに力を入れていきたいという社長の思いの下、お好み焼課の新設によって、お好み焼き店への積極的な営業活動を行い、特にシェアの低いエリアの店へアプローチしていくと、当時の社内資料にも書かれています」
春名さんは部署設立の背景をこう説明する。そして、毎日のようにお好み焼き店に足を運んでは、店の状況をリサーチしたり、店主との関係性を構築したりするのが、春名さんらお好み焼課メンバーのミッションだった。
「まだスマホなどないので、地図を片手に夜の7〜8時くらいにお店を回っては、そこで見聞きした情報を営業に伝えていました。店の方と仲良くなることもあれば、追い出されたこともあります」と春名さんは苦笑いする。
お好み焼課では他方、店を新規開業する人たちを支援する研修もスタートさせた。これには次のような狙いがあった。
「新しくオープンする店にどうやったらうちのお好みソースを使ってもらえるかを考えた時に、『うちのソースはおいしいですよ』と言うだけではなくて、お好み焼きの焼き方や、商売が成功するノウハウなどを伝えて、一緒に店を作っていくことが大事だと思いました。オタフクソースに行ったら安心して店が開ける、いろいろとサポートしてもらえるという意識を醸成し、そこから商品導入にもつなげていこうと」
開業支援の研修は現在も継続していて、これまでに累計1万人ほどを指導。そのうち1000人以上が出店にこぎつけている。そして、そうした店の多くが開業当初からオタフクソースの商品を使い続けているそうだ。