「皿うどん寿司」を出した過去
同シリーズは、くら寿司が2010年から漁業創生の一環として「天然魚プロジェクト」を立ち上げ、その集大成として日の目を見た肝入りのメニューとなっている。
10年以上の時間をかけ、全国116の漁港・漁協と直接取引を行う仕組みづくりを推進し、産地直送の新鮮な国産天然魚の提供を可能にするエコシステムを構築してきた。
だが、順風満帆に進んできたわけではない。
2011年に五島列島の地魚を全国販売する「ご当地フェア」を実施し、地元でしか食べられない地魚を寿司ネタとして提供していた。
だが、その当時は「地魚の安定調達や、お客様に地魚の入荷状況をタイムリーに知らせる仕組みが整えられずに断念した」と岡本さんは振り返る。
「五島列島の天然魚を十分に確保できず、苦肉の策で『皿うどん寿司』などを販売していましたね。このような『ご当地フェア』での失敗から、国産天然魚を安定調達するために、地域の漁業者や水産会社とのネットワークを強化してきました。
水揚げされた天然魚を最寄りの加工場で捌き、くら寿司の各店舗に配送する仕組みを整えられたこと、さらにここ数年の間でSNSが浸透したことで、ソフトとハード両面が揃った。当社としても、満を持して発表したのが『くらの逸品シリーズ』だったんです」